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フランクリンの名言15選|英語の原文と出典つき、「Time is money」の本当の出どころも
印刷工から身を起こし、アメリカ建国の父の一人になったベンジャミン・フランクリン。「時は金なり」をはじめ、彼の言葉とされる名言はたくさんありますが、どの作品の、いつ書かれた言葉なのかまで示したものは多くありません。この記事では、Project Gutenberg で公開されている『フランクリン自伝』『富に至る道』、手紙や小文の原文を一つずつ照らし合わせ、本文で確かめられた15個だけを、英語の原文・拙訳・出典と背景つきで紹介します。
CONTENTS
「Time is money」はどこに書かれているか
フランクリンの名言といえば「時は金なり」。この言葉は、1748年に書かれた『若い商人への助言(Advice to a Young Tradesman)』という短い手紙の形の文章に出てきます[3]。友人に頼まれて、自分の役に立ったヒントを書き送る、という体裁です。
時間はお金だということを忘れるな。1日に10シリング稼げる人が、半日を出歩いたりぶらぶらしたりして過ごしたなら、その間に使ったのが6ペンスだけでも、それだけを出費と数えてはいけない。実際には、そのほかに5シリングを使った、いや、捨てたのだ。(拙訳)
Remember, that time is money. He, that can earn ten shillings a day by his labour, and goes abroad, or sits idle one half of that day, though he spends but sixpence during his diversion or idleness, ought not to reckon that the only expence; he has really spent, or rather thrown away, five shillings besides.
ベンジャミン・フランクリン『若い商人への助言』1748年(Project Gutenberg 版 Complete Works 第3巻)[3]
つまり「時間を大切に」という精神論ではなく、働けば稼げたはずのお金も、遊んだ時間のコストに入れよという具体的な計算の話です。今の言葉でいえば「機会費用」。この手紙はこのあと「信用はお金だ」「お金はお金を生む」と続き、最後は勤勉と節約の話でしめくくられます[3]。
時間と仕事についての名言
次の5つは、フランクリンが「貧しいリチャード」の名で出していた暦の格言を、一人の老人の演説の形にまとめた『富に至る道(The Way to Wealth)』からです[2]。
| 原文 | 拙訳 | 出典 |
|---|---|---|
| Lost Time is never found again | 失った時間は二度と見つからない | 『富に至る道』[2] |
| dost thou love Life, then do not squander Time, for that's the stuff Life is made of | 人生を愛するなら、時間を浪費するな。人生は時間でできているのだから | 『富に至る道』[2] |
| Diligence is the Mother of Good-luck | 勤勉は幸運の母 | 『富に至る道』[2] |
| One To-day is worth two To-morrows | 今日の1日は、明日の2日に値する | 『富に至る道』[2] |
| Little Strokes fell great Oaks | 小さな一打ちが大きな樫の木を倒す | 『富に至る道』[2] |
「勤勉は幸運の母」の前には、宝を見つけたわけでも、金持ちの親戚に遺産をもらったわけでもなくても、という前置きがあります[2]。運は待つものではなく、勤勉が産むもの。「小さな一打ち」の前には「雨だれが石をうがつ」という言葉も並んでいて、毎日少しずつ続けることの力を繰り返し説いています。
ただし、これらの格言はフランクリンがゼロから作ったものばかりではありません。自伝で本人が、暦の格言は「多くの時代と国々の知恵」を含むことわざを集めたものだと書いています[1]。古くからの知恵を選び、短く覚えやすい形で広めたのがフランクリンの仕事でした。
お金についての名言
| 原文 | 拙訳 | 出典 |
|---|---|---|
| Remember, that credit is money. | 信用はお金だということを忘れるな | 『若い商人への助言』1748年[3] |
| Don't give too much for the whistle | 笛に払いすぎるな | 手紙「笛(The Whistle)」1779年[2] |
| 'Tis hard for an empty Bag to stand upright | 空っぽの袋はまっすぐ立ちにくい | 『富に至る道』[2] |
「笛に払いすぎるな」は、1779年にパリ近郊のパッシーから友人に宛てた手紙の言葉です。7歳のフランクリンは、もらった小銭を全部はたいておもちゃの笛を買い、兄弟たちに「4倍も払った」と笑われて悔しくて泣きました。それ以来、要らない物を買いたくなるたびにこの言葉を思い出してお金を貯めた、と書いています[2]。手紙はさらに、出世や人気、見栄のために時間や健康や友情まで差し出してしまう人も「笛に払いすぎている」と続きます。値段ではなく、自分にとっての価値で考えよ、という教えです。
同じ『若い商人への助言』は、富への道を次のようにまとめています。
要するに、富への道は、望むなら市場への道と同じくらいわかりやすい。それはおもに勤勉と節約という2つの言葉にかかっている。つまり、時間もお金も無駄にせず、どちらも最善に使うことだ。(拙訳)
In short, the way to wealth, if you desire it, is as plain as the way to market. It depends chiefly on two words, industry and frugality; that is, waste neither time nor money, but make the best use of both.
ベンジャミン・フランクリン『若い商人への助言』1748年(Project Gutenberg 版)[3]
この手紙では、しばらく収入と支出を正確に記録してみよとも勧めています。そうすれば、小さな出費がどれほど大きな額にふくらむかがわかる、と[3]。家計簿アプリのすすめを18世紀に書いていたわけです。『富に至る道』の「小さな出費に気をつけよ」などのお金の格言はフランクリンの13の徳とは|一覧と「1週1徳」の手帳術、『富に至る道』のお金の格言にまとめています。
人間関係についての名言
人付き合いの知恵は、自伝に具体的なエピソードつきで出てきます。州議会の書記に再任されるとき、長い演説で反対してきた新人議員(のちに議会で大きな影響力を持つ人物)と、どう仲直りしたか。フランクリンはご機嫌取りをせず、相手の蔵書の珍しい本を「貸してほしい」と頼んだのです。本を返してお礼を伝えると、相手は初めて話しかけてくるようになり、生涯の友人になったといいます。そのとき思い出したのが、次の古い格言でした。
一度あなたに親切にしてくれた人は、あなたが恩を施した相手よりも、もう一度親切にしてくれやすい。(拙訳)
He that has once done you a kindness will be more ready to do you another, than he whom you yourself have obliged.
ベンジャミン・フランクリン『フランクリン自伝』(Project Gutenberg 版)[1]
| 原文 | 拙訳 | 出典 |
|---|---|---|
| I made it a rule to forbear all direct contradiction to the sentiments of others, and all positive assertion of my own. | 他人の意見に真っ向から反論すること、自分の意見を断定することを、いっさい控えるのを決まりにした | 『フランクリン自伝』[1] |
| Experience keeps a dear School, but Fools will learn in no other | 経験という学校は授業料が高い。だが愚か者はそこでしか学ばない | 『富に至る道』[2] |
| we may give Advice, but we cannot give Conduct | 助言は与えられても、行いまでは与えられない | 『富に至る道』[2] |
「真っ向から反論しない」は、若いころ友人に「君は議論で高慢だ」と指摘されて、13の徳に「謙譲」を加えたときの決まりです。「きっと」「間違いなく」といった断定の言葉をやめ、「私にはこう思える」と言うようにしたところ、会話は気持ちよく進み、自分の意見も受け入れられやすくなったと書いています[1]。
生き方についての名言
| 原文 | 拙訳 | 出典 |
|---|---|---|
| truth, sincerity and integrity in dealings between man and man were of the utmost importance to the felicity of life | 人と人との取引における真実・誠実・高潔さこそ、人生の幸福にとって何より大切だ(と確信するようになった) | 『フランクリン自伝』[1] |
| there is, perhaps, no one of our natural passions so hard to subdue as pride | 生まれつきの感情の中で、おそらく高慢ほど抑えにくいものはない | 『フランクリン自伝』[1] |
| even if I could conceive that I had compleatly overcome it, I should probably be proud of my humility | たとえ高慢を完全に克服したと思えたとしても、きっと私は自分の謙虚さを自慢するだろう | 『フランクリン自伝』[1] |
正直さを大切にしたのは、きれいごとではありません。自伝では、裕福な商人や君主はいつも正直な人材を必要としているのに、そういう人は少ないのだから、正直さほど貧しい人の運を開く資質はないと若い人に伝えたかった、とも書いています[1]。そして高慢についての告白は、自分を完璧に見せない、フランクリンらしいユーモアです。
15の名言の出典一覧
この記事で紹介した名言と、確認した作品の一覧です。
| # | 名言(冒頭) | 出典 |
|---|---|---|
| 1 | Remember, that time is money. | 若い商人への助言(1748年) |
| 2 | Lost Time is never found again | 富に至る道 |
| 3 | dost thou love Life, then do not squander Time… | 富に至る道 |
| 4 | Diligence is the Mother of Good-luck | 富に至る道 |
| 5 | One To-day is worth two To-morrows | 富に至る道 |
| 6 | Little Strokes fell great Oaks | 富に至る道 |
| 7 | Remember, that credit is money. | 若い商人への助言(1748年) |
| 8 | the way to wealth … is as plain as the way to market | 若い商人への助言(1748年) |
| 9 | Don't give too much for the whistle | 手紙「笛」(1779年) |
| 10 | 'Tis hard for an empty Bag to stand upright | 富に至る道 |
| 11 | He that has once done you a kindness… | フランクリン自伝 |
| 12 | I made it a rule to forbear all direct contradiction… | フランクリン自伝 |
| 13 | Experience keeps a dear School… | 富に至る道 |
| 14 | we may give Advice, but we cannot give Conduct | 富に至る道 |
| 15 | no one of our natural passions so hard to subdue as pride… | フランクリン自伝 |
表の15は、同じ箇所の「謙虚さを自慢するだろう」までを含めて1つと数えています。#11は本人が「昔覚えた古い格言」として引いている言葉で、フランクリンの創作ではありません[1]。
名言の出典を読むなら
ここで紹介した作品の英語の原文は、どれもProject Gutenberg で無料で読めます[1][2][3]。日本語で読むなら、『フランクリン自伝』の訳書が入り口です。訳書には『富に至る道』を併せて収めたものもあるので、目次で確かめてみてください。
| 作品 | 向いている人 |
|---|---|
| フランクリン自伝 | 人物としてのフランクリンを知りたい人。13の徳や人付き合いのエピソードはここに |
| 富に至る道 | お金と時間の格言を短く読みたい人。数ページで読み切れる |
| 若い商人への助言・笛 | 「時は金なり」「笛に払いすぎるな」を前後の文脈ごと読みたい人。どちらも短い文章 |
フランクリンの著作を探す
『フランクリン自伝』の文庫・電子書籍、『富に至る道』を収めた本など。試し読みで訳文を比べられます。
版・訳者・収録作品・電子版の有無は販売ページでご確認ください。
よくある質問
- 「時は金なり」はフランクリンの言葉?
- 1748年の『若い商人への助言』に「Remember, that time is money.」と書かれています[3]。遊んだ時間は、その間に稼げたはずのお金も失っている、という意味です。
- 「知識への投資が最高の利息を生む」もフランクリンの名言?
- フランクリンの言葉として広く紹介されていますが、本サイトが確認した原文(自伝・『富に至る道』・『若い商人への助言』・手紙「笛」)には見当たりませんでした。
- 「死と税金ほど確かなものはない」は?
- 晩年の手紙の言葉として知られていますが、本記事で参照した資料ではその手紙の原文を確認できなかったため、一覧には入れていません。
- 『富に至る道』の格言はフランクリンが考えたもの?
- 自伝で本人が、暦の格言は多くの時代と国々の知恵を含むことわざを集めたものだと書いています[1]。
名言の前後も読んでみる
勤勉と節約を説いた日本の名言は福沢諭吉の名言15選|原文と出典つき、『学問のすすめ』『福翁自伝』からで、原文つきで紹介しています。
出典
- Benjamin Franklin, The Autobiography of Benjamin Franklin(Project Gutenberg eBook #148) https://www.gutenberg.org/ebooks/148(2026年10月11日閲覧)
- Benjamin Franklin, Autobiography of Benjamin Franklin(付録に "The Way to Wealth"、"The Whistle"(To Madame Brillon, Passy, November 10, 1779)を収録・Project Gutenberg eBook #20203) https://www.gutenberg.org/ebooks/20203(2026年10月11日閲覧)
- The Complete Works in Philosophy, Politics and Morals of the late Dr. Benjamin Franklin, Vol. 3("Advice to a Young Tradesman. Written Anno 1748." を収録・Project Gutenberg eBook #48138) https://www.gutenberg.org/ebooks/48138(2026年10月11日閲覧)