ベンジャミン・フランクリンの「13の徳」を原文つきで一覧に。節制から謙譲まで13項目の意味、フランクリンが自伝で明かした1週間に1つずつ身につける手帳の方法、『富に至る道』の「小さな出費に気をつけよ」などお金の格言を、Project Gutenberg の原文から紹介します。">

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フランクリンの13の徳とは|一覧と「1週1徳」の手帳術、『富に至る道』のお金の格言

公開 2026-10-10 / 原文は Project Gutenberg 版『フランクリン自伝』による。訳はすべて拙訳

アメリカ建国の父の一人で、100ドル紙幣の肖像にもなっているベンジャミン・フランクリン。印刷工から身を起こして財産を築いた彼が、若いころに自分に課したのが「13の徳」です。自伝には、13の徳の中身だけでなく、それを1週間に1つずつ身につけていくための手帳の作り方まで書かれています。この記事では、原文の引用とともに13の徳の一覧と方法、そしてお金についての格言をまとめます。

CONTENTS

  1. フランクリンの13の徳とは
  2. 13の徳の一覧(原文つき)
  3. なぜこの順番なのか
  4. 「1週1徳」の手帳の作り方
  5. 『富に至る道』のお金の格言
  6. 今の生活で試すなら
  7. フランクリン自伝を読むなら
  8. よくある質問

フランクリンの13の徳とは

フランクリンは自伝の中で、道徳的に完全な人間になるという「大胆で困難な計画」を思い立ったと書いています。ところが、気をつけているつもりでも別の欠点に足をすくわれる。そこで彼は、身につけたい性質を13の徳に整理し、それぞれに短い戒めをつけました[1]。

13の徳は、宗教や哲学の体系ではなく、毎日の行動を点検するためのチェック項目です。だからこそ、200年以上たった今も手帳術や習慣化の話で繰り返し取り上げられています。

13の徳の一覧(原文つき)

自伝に書かれた順番と、それぞれの戒めです[1]。日本語は原文からの拙訳です。

#徳戒め(拙訳)原文
1節制頭が鈍るほど食べない。酔って浮かれるほど飲まないTemperance. Eat not to dullness; drink not to elevation.
2沈黙他人か自分の役に立つこと以外は話さない。無駄話を避けるSilence. Speak not but what may benefit others or yourself; avoid trifling conversation.
3規律物はすべて置き場所を決め、仕事はそれぞれ時間を決めるOrder. Let all your things have their places; let each part of your business have its time.
4決断やるべきことをやると決め、決めたことは必ずやるResolution. Resolve to perform what you ought; perform without fail what you resolve.
5節約他人か自分のためになること以外にお金を使わない。つまり、浪費しないFrugality. Make no expense but to do good to others or yourself; i.e., waste nothing.
6勤勉時間を無駄にしない。常に何か役に立つことをする。不要な行動はすべてやめるIndustry. Lose no time; be always employ'd in something useful; cut off all unnecessary actions.
7誠実人を傷つける嘘をつかない。考えは清く正しく、話すときもそのとおりにSincerity. Use no hurtful deceit; think innocently and justly, and, if you speak, speak accordingly.
8正義他人に害を与えたり、なすべき善を怠ったりして人を不当に扱わないJustice. Wrong none by doing injuries, or omitting the benefits that are your duty.
9中庸極端を避ける。不当な扱いを受けても、相手にふさわしいと思うほど恨まないModeration. Avoid extreams; forbear resenting injuries so much as you think they deserve.
10清潔体・衣服・住まいの不潔を許さないCleanliness. Tolerate no uncleanliness in body, cloaths, or habitation.
11平静ささいなこと、ありがちな避けられない出来事に心を乱さないTranquillity. Be not disturbed at trifles, or at accidents common or unavoidable.
12純潔健康や子孫のため以外に色欲にふけらず、自他の平穏や評判を損なわないChastity.(原文は自伝を参照)
13謙譲イエスとソクラテスに見習うHumility. Imitate Jesus and Socrates.

徳の日本語名は訳書によって「節制・沈黙・規律…」「節度・寡黙・秩序…」など違いがあります。上の表は原文からの拙訳です。

なぜこの順番なのか

13の徳の並び順には理由があります。フランクリンは、一度に全部を身につけようとすると注意が散ってしまうので、1つずつ順に身につけていくことにし、前の徳が次の徳を身につけやすくするように並べたと書いています[1]。

お金の話がここで出てくるのが、フランクリンらしいところです。彼は節約と勤勉の効用をこう書いています。

節約と勤勉は、残っていた借金から私を解放し、豊かさと自立をもたらしてくれるはずだった。そうなれば、誠実や正義を実践するのも楽になる。(拙訳)

"Frugality and Industry freeing me from my remaining debt, and producing affluence and independence, would make more easy the practice of Sincerity and Justice"

ベンジャミン・フランクリン『フランクリン自伝』1784年パッシーで書かれた部分(Project Gutenberg 版)[1]

お金の余裕が心の余裕を生み、正直でいることを助ける。きれいごとだけでない、現実的な順番づけです。

「1週1徳」の手帳の作り方

フランクリンは、13の徳を毎日点検するための小さな手帳を作りました。自伝に書かれた作り方は次のとおりです[1]。

  1. 徳ごとに1ページ:13の徳それぞれに1ページを割り当てます。
  2. 7列×13行の表を引く:赤いインクで曜日ごとに7列、13の徳の頭文字ごとに13行の表を引きます。
  3. 毎晩、破った徳に黒い点:その日に犯した過ちを、該当する徳の行・曜日の列に小さな黒い点で記録します。
  4. 1週間は1つの徳だけに集中:最初の週は「節制」の行を点ゼロに保つことだけに全力を注ぎ、ほかの徳は成り行きにまかせて点を記録するだけにします。
  5. 13週で一巡、1年で4周:翌週は次の徳を加え、最後まで進めば13週で一巡、1年で4周できます。

なぜ1つずつなのか。フランクリンは、庭の草取りにたとえて説明しています。

草取りをする人が、手にも力にも余るからと、悪い草を一度に全部抜こうとはせず、ひとつの花壇ずつ手をつけ、それが終わってから次に進むように。(拙訳)

"like him who, having a garden to weed, does not attempt to eradicate all the bad herbs at once, which would exceed his reach and his strength, but works on one of the beds at a time, and, having accomplish'd the first, proceeds to a second"

ベンジャミン・フランクリン『フランクリン自伝』1784年パッシーで書かれた部分(Project Gutenberg 版)[1]

そうすれば、ページの点が1行ずつ消えていくのを見る「励みになる喜び」を味わえるだろう、と彼は続けています[1]。行動を記録して見える化し、一度に1つだけ変える。今の習慣化の考え方とほとんど同じです。

『富に至る道』のお金の格言

フランクリンは1732年から約25年間、「リチャード・ソーンダース」の名で暦(『貧しいリチャードの暦』)を出版し、年に1万部近く売れたと自伝に書いています。暦の余白には、勤勉と節約を富を得る手段として説く格言を入れたといいます[2]。その格言を一つの演説の形にまとめたのが、1758年版の序文『富に至る道(The Way to Wealth)』です[2]。

格言(拙訳)原文
小さな出費に気をつけよ。小さな水漏れが大きな船を沈めるBeware of little expenses; A small Leak will sink a great Ship
ちりも積もれば山となるMany a Little makes a Mickle
要らない物を買えば、やがて必要な物を売ることになるBuy what thou hast no Need of, and ere long thou shalt sell thy Necessaries
お金の価値を知りたければ、借りに行ってみよ。借りに行く者は悲しみに行くIf you would know the Value of Money, go and try to borrow some; for, he that goes a borrowing goes a sorrowing
苦労なくして利益なしThere are no Gains without Pains
早寝早起きは、人を健康に、豊かに、賢くするEarly to Bed, and early to rise, makes a Man healthy, wealthy, and wise

原文はすべて『富に至る道』からです[2]。中でも「小さな出費に気をつけよ」は、サブスクや少額決済が積み重なりやすい今こそ響く一文でしょう。お金の稼ぎ方・貯め方・使い方を「実践的な知恵の試金石」と呼んだ本として、自助論の要約|「天は自ら助くる者を助く」の本当の意味と全13章の要点の第10章もあわせてどうぞ。

勤勉と学びで身を立てることを説いた日本の名著として、学問のすすめの要約|「天は人の上に人を造らず」の続きと全17編の要点もあわせてどうぞ。

今の生活で試すなら

フランクリンの方法は、そのまま現代の手帳やスマホのメモで再現できます。

  1. 自分の徳を決める:13個にこだわらず、身につけたい習慣を5〜7個に絞ってもかまいません。
  2. 1行で戒めを書く:「節約=目的のない買い物をしない」のように、守れたか判定できる言葉にします。
  3. 毎晩30秒で点をつける:守れなかった項目に印をつけるだけ。言い訳は書きません。
  4. 今週の1つを決める:1週間は1項目だけを本気で守り、ほかは記録するだけにします。
  5. 一巡したら見直す:点が消えない項目は、戒めの言葉が大きすぎないか見直します。
フランクリン自身、13の徳のうち「規律」がいちばん苦労したと自伝に書いています。それでも、目指した完全さには遠く及ばなかったが、努力したことでそうしなかった場合より良く、幸せな人間になれた、と振り返っています[1]。完璧を目指すより、記録を続けること自体に意味があるという姿勢です。

フランクリン自伝を読むなら

『フランクリン自伝』の英語の原文は Project Gutenberg で無料で読めます[1]。13の徳は、1784年にパリ近郊のパッシーで書き継がれた部分に出てきます[1]。

読み方向いている人
英語の原文(Project Gutenberg)18世紀の英語の味わいごと読みたい人、まず無料で確かめたい人
日本語訳の文庫・電子書籍通して読みたい人、注釈や解説がほしい人

日本語訳は複数あり、訳者によって徳の訳語や読みやすさが違います。販売ページの試し読みで、13の徳の部分を見比べて選ぶのがおすすめです。

『フランクリン自伝』の日本語訳を探す

文庫・電子書籍など複数の訳があります。試し読みで訳文を比べて選べます。

版・訳者・電子版の有無は販売ページでご確認ください。

よくある質問

13の徳はいくつ守ればいい?
フランクリン自身は、1週間に1つずつ集中し、13週で一巡、1年で4周する方法をとりました[1]。一度に全部ではなく、1つずつが前提です。
「Time is money(時は金なり)」もフランクリンの言葉?
フランクリンの言葉として知られていますが、この記事で扱った『自伝』と『富に至る道』の原文には、この形の文は出てきません。『富に至る道』には「時間を無駄にするのは最大の浪費」という趣旨の格言が出てきます[2]。
無料で読める?
英語の原文は Project Gutenberg で無料で読めます[1]。日本語で通して読みたい場合は訳書が選択肢になります。

原文と訳書、読みやすいほうで

出典

  1. Benjamin Franklin, The Autobiography of Benjamin Franklin(Project Gutenberg eBook #148) https://www.gutenberg.org/ebooks/148(2026年10月10日閲覧)
  2. Benjamin Franklin, Autobiography of Benjamin Franklin("The Way to Wealth" ほか収録・Project Gutenberg eBook #20203) https://www.gutenberg.org/ebooks/20203(2026年10月10日閲覧)